タイのお坊さんの袈裟がオレンジ色の理由
「なんでタイのお坊さんはオレンジ色の袈裟を着ているのだろう?」
タイ旅にふと疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
お坊さんの袈裟が橙色(オレンジ色)である理由は、歴史的・宗教的・実用的な背景があります。以下、解説します!
質素さと簡素さの象徴
橙色は、僧侶の質素な生き方や、物質的な執着を捨てた生活を象徴しています。
初期の仏教では、僧侶は廃棄された布(古い衣服や葬儀で使われた布)を再利用して袈裟を作りました。
この布を汚れた色に染め直すことで、質素さを表すと同時に、再利用された布であることを明確にしました。
自然の染料を使った結果
古代では、衣服を染めるための染料に限りがありました。自然界にある植物や土から抽出される染料が使われていました。
ジャックフルーツの樹皮やターメリック(ウコン)、サフランなどの植物染料がよく使われました。
これらの染料で染めると、自然と橙色や黄色に近い色になるため、この色が袈裟の伝統的な色となりました。
精神的な意味
橙色には仏教的な意味が込められています。
- 悟りと修行の色:橙色は仏教において、悟りへの道を象徴する色とされています。
- 煩悩からの解脱:橙色は燃え盛る火を連想させ、煩悩を焼き尽くす象徴とも言われます。
- 中庸(ちゅうよう):目立ちすぎず、地味すぎない色として、仏教の中庸の教えを表しています。
地域による違い
袈裟の色は地域や宗派によって異なりますが、橙色は特に南方仏教(テーラワーダ仏教)で広く使われています。
- 東南アジア(タイ、スリランカ、ミャンマー、ラオス、カンボジア):橙色や黄色が一般的。
- 東アジア(日本、中国、韓国):黒、灰色、茶色、黄色など、宗派や習慣によって異なる。
宗教的な識別のため
橙色は、僧侶を一般の人々から区別するための色としても機能します。特に群衆の中で目立ち、尊敬や敬意を示す色とされます。
結論
お坊さんの袈裟が橙色であるのは、質素で実用的な背景と、精神的な意味を兼ね備えているためです。この色は、仏教徒が大切にする価値観――簡素さ、清らかさ、煩悩からの解脱――を表現し、僧侶の生活と教えを象徴するものとなっています。