タイの山岳民族「リス族」の新年を彩る踊り
リス族の新年は、中国の起源を持つ彼らにとって旧正月を祝う特別な時期です。
2024年の旧正月の時期に、チェンライのリス族の方の家に訪問させてもらった時の記録です。
1. 大晦日の踊り
リス族の大晦日は、村中を回りながら家々で踊って年を越します。私が訪れた村では、午後8時頃から踊り始め、38軒(1,2軒の誤差があるかも)を回りました。村には150軒ほどの家があるそうです。
踊りの際は、家の前に立てた1本の木を中心に、皆で手をつないで「スブー」という3弦のギターの音に合わせて踊ります。中心には4、5人の男性が踊り、その周りを女性と残りの男性が取り囲むように踊ります。
踊りについては、知らない外国人である私でも快く受け入れてくれました。日本なら恥ずかしさを感じるかもしれませんが、タイの田舎の村なので特に気にすることはありませんでした。リス族の人々が楽しそうに手をつないで踊っているのを見ていると、自然と楽しくなってきます。
踊りながら、お米から作った焼酎のようなお酒かビールが振る舞われます。その場の雰囲気に合わせて飲んでいきますが、全ての家で飲むわけにはいかないので、「さっき飲んだ」と言って断ることもあります。
踊りには強制力はなく、途中で休憩したりしても構いません。このリラックスした雰囲気が「タイらしい」と感じられ、踊りを続ける理由のひとつなのかとふと思いました。私も最後の10軒ほどは疲れと眠気で端の方に座ってサボっていました(笑)
踊りの横では10代の男の子が爆竹や花火を鳴らし、うるさい音が響き渡っていましたが、だんだん慣れてきます。
そして、いよいよ最後の家に着いたのが午前1時前でした。最初より人数は減っていましたが、皆で楽しく踊りました。ただし、踊り終えた後の解散はあっけなかったです。
2. 元旦の踊り
元旦に村の男性は、祠に挨拶をしにいきます。
祠に挨拶をした後は、みんなで食事をします。
その後、村長宅に集まり円になって踊ります。午前9時から12時、そして昼食休憩を挟んで午後1時から2時半まで踊り続けました。
最初はずっと同じ音楽で同じステップで踊るので「なぜこんなに長く踊れるのだろう」と不思議に思いました。しかし、村に帰ってきた若者や昔村で教師をしていた人との再会の場でもあり、家族や友人に会えて嬉しいのかもしれません。
また、お酒を飲んだり、おやつを食べたり、休憩を取ったりしながら踊れる「ゆるさ」も長時間踊り続けられる理由なのではと思いました。
私自身は踊ることが得意ではなく、好きでもありませんでした。自分の体を使って表現するのが苦手です。しかし、村人に合わせて踊ると、次第に抵抗感がなくなり、楽しくなってきました。
3. なぜリス族は踊るのか?
「なぜこんなにもストイックにリス族の方は踊るのだろうか?」と気になったので私はリス族の方に直接理由を聞いてみました。
リス族が踊ることは、「家族や自身の幸運、健康、豊作を祈る」意味があると話を伺いました。
「踊ることは強い足を持つことに通じ、強い足がないと何もできない。健康になれず、良いお米やトウモロコシも育てられない」とおっしゃっていました。
昔の文化と伝統を今でも、大切に守り続けているリス族の方たち。もっと魅力を知りたくなりました。
「私が体験したリス族の方のあたたかさや文化をみなさんにも味わってほしい!」という想いから、「カカオの秘密とリス族の文化体験ツアー」を企画しております。
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